Pathological love
俺が固まっている事を察知したのか、仲井が空かさずフォローに入る。
「またとないお話で本人も驚いている様です!お嬢様に気が向いて、仕事にならないと大変ですので、この話は仕事が無事終了した暁にで如何でしょうか?」
「ハハッ!確かにそうだ!これに没頭して、仕事がおざなりになっては困るからな!!美鈴もそれでいいか?」
「はい。私は秋山さんに会えただけで今は満足です。」
俺の話を俺だけ蚊帳の外にして、話は纏まって終わった。
新嶋社長を見送って、俺達はやっと帰宅の途についた。
仲井は営業スマイルで疲れた顔を揉みほぐしながら、俺に向き直って話始めた。
「さっきは勝手な事して悪かったな。でも、折角大口の契約が決まったんだ。あそこで断ったら、良好な関係が築けなくなるだろ?下手すりゃ愛娘に恥掻かせた事で、契約破棄されるかも知れない。それなら、終わるまで返事を引き伸ばして、最後に上手く断った方がいいだろ?業界で生きていく為の蘇生術だ。チャンスなんだ!婚約者の彼女には悪いけど、今回は聞き分けろ!なっ?」
「………………。」
BIJOU………それは母親が立ち上げたファッションブランド。
俺の中で、嫌悪と愛好とゆう相反する感情が芽生えていた。