Pathological love
新嶋社長との会食から三日が過ぎても、俺の頭はモヤモヤとスッキリしない状態が続いていた。
何を構想しても、いつの間にか新嶋社長の話が頭に浮かんだ。
俺は、一体どうしたらいいのか分からなかった。
とっくの昔に母親への期待は捨てたはずなのに、心の何処かで未だに認められたいと疼いているのを感じる。
「…………もう………期待なんかするな…………。」
長時間の缶詰状態も限界に近づいていた頃、ノックが鳴り響いた。
恐らく仲井だろうと、無視すると扉がゆっくり開いた。
「失礼しま~す。………連理…居る?」
「えっ?!……令子?!」
俺は、思わず立ち上がっていた。
それもその筈、うちの事務所に来ること自体が初めての事だったから驚かないわけがない。
「お仕事、ご苦労様!差し入れ持って来たよ!一緒に食べよ。」
「何?!どうしたの?」
「どうしたのって………一応婚約者なんだから心配したっていいでしょ?」
「心配?!………俺を?」
「あんた以外誰がいるってゆうの?」
令子は保冷用のランチバックからお弁当箱を取り出して、テーブルに広げた。
「令子が…………作ったのか?」
「サンドウィッチだけど………いい?それも初めてだから、味に保証は出来ないけど………。」
「マジで?………ハハッ………今夜は雪が降るかも。」
「何それ…バカにし過ぎ。いいから、こっち座って。」
手渡されたサンドウィッチは少し下手くそだったけれど、味は悪くなかった。
「へぇ~結構美味いじゃん。」
仲井には悪いが、この間のコンビニのサンドウィッチより数段美味しく感じた。