Pathological love
(俺の単なる欲目か………?)
「フフッ………。」
「何よ?」
「いや、美味いよ。」
「また、バカにして…。」
俺は、隣に座っている彼女の肩にそっと頭を乗せた。
彼女はそれを確認すると、そのままゆっくりソファーの背もたれに背中を預けて俺を休ませてくれる。
張り詰めていた気分が解けていくのを感じて、俺は酷使していた目を閉じた。
「仕事…順調?」
「う~ん………ちょっと今、行き詰まってる感じ………。」
「そう………。」
「ファンデーションに一番力を入れてるみたいなんだけど、どう表現したら惹かれるか今一、よく分からなくて。使う女優さんは人気の子なんだけど………。」
「実際使ってみた?」
「えっ?俺が?」
「当たり前じゃない!使ってみなきゃその商品の良さは分からないし、何かヒントになるかも知れないじゃない。私達の企画しているイベントでは、タレントさんだけじゃなくて、集まってくれた一般の女性の方達にも体験ブースを作って、好きな様にメイクして貰おうと思ってるの。」
「へぇ~そうなんだ。化粧品の広告デザインは今回が初めてだったからビジュアル重視で、それに男だし商品を試すなんて考えて無かったよ。」
「じゃあさ………今、使ってみる?」
令子はバックからごそごそとビニール袋を取り出すとテーブルの上に並べていった。
「こんなに色々あるわけ?これ全部使うの?」