Pathological love

「昨日あんなに大変な思いしたのに、あんた……覚えてないわけ?」


「昨日の事………余りよく覚えて無くて………。」


呆れた様な溜め息が、目の前の男から溢れる。


「あんたがチャラい男に薬飲まされて、ヤられそうになってた所を助けてやったんだろ!おまけにそのまま倒れ込んだあんたを、ここまで連れてきて介抱してやったんだよ。寝言は言うわ、泣き出すわで大変だったのに、全然覚えて無いのかよ…………信じらんねー………。今朝も何の挨拶も無しに黙っていなくなるし、しっかりしてそうに見えるけど案外常識無いんだな…あんた。」


図星を突かれて、自分が悪いのは百も承知だが、こうも滅茶苦茶に年下に言い負かされると面白くない。


「それは悪かったわね。後日、何でもお礼はするから………それでいいでしょ?」


なけなしのプライドを掻き集めて強がって見せる。


「はぁ?なんでそんな偉そうに上から目線なわけ?」


「偉そうって………だって、あなた大学生か何かでしょ?私より年下のくせに、目上の者にその言葉使いの方が非常識じゃないの?」


「…………………………?」


「なっ…何よ?」


目の前の男は、暫く私の顔を不思議そうにじっと見つめると急に笑いだした。


「あははははっ!!確かに大学生にタメ口きかれたら腹立つよな!クックックッ………!」


長身の身体を折り曲げて、お腹まで抱えて笑っている。


(何なのよこいつ………人をバカにして腹立つ!!)


「もう、いいでしょ?私、帰るからっ!!」


グゥルルルルルル~………………。


啖呵を切って踵を返した瞬間、盛大なお腹の虫が部屋に鳴り響いた。


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