Pathological love
俯いて強く握っていた私の手を、黒木先生は優しく包み込んだ。
「最初は反発しても、母親なら最後は受け入れてくれます………きっと。まずはお母さんへ一歩を踏み出す事です。」
黒木病院からの帰り道、私はある決意を胸に携帯電話を手に取った。
「もしもし………水川です。いつもお世話になっております。日曜日に伺いたいんですけど、いいですか?………はい、私が行く事は秘密にしてください……宜しくお願いします。」
通話を終えた後、暫く私はその場に立ち竦んでいた。
自分で決めたくせに、気持ちは落ち込むばかりだった。