Pathological love
「あっそうだ!今日、307号の水川さんに面会があるから。優ちゃんは初めてよね?」
「307号って………あの特別室の方ですよね?」
「八重子さんよ。」
「面会なんて珍しいですね?いつも伝言メッセージなのに。」
「ええ。八重子さんがご家族との面会を拒否してるからね。わざわざ娘さんから離れて他県のうちのホスピスに入るくらいだから何か理由があんるでしょうけど………。でも、娘さんは毎日の様に私に電話をしてくるのよ。とっても綺麗な娘さんよ。」
「そうなんですか。」
ホスピスを利用する患者さんも色々だけれど、その家族も同じく様々な理由でここを利用する。
看病するパートナーや家族が居ない、家族は居るが面倒を見るのを嫌がる、少ないが自分で希望して入所する患者さんもいる。
末期ガンの患者さんの大体の人が、最後を迎えるならば住み慣れた家でと希望する中で、自分からホスピスを選んだ患者さんは、きっとそれなりの何か深い理由があるのだろう。
私は勝手にそんな事を考えたりしていた。
「でも、八重子さん大分弱っているし、本人には娘さんに病状を隠して欲しいって言われてたけど、そろそろ会っておかないと話もままならなくなってきているから。それに、本当は会いたいんだと思うの。いつも一人で小さい頃の家族写真を眺めているもの。」
「外邑さん!!私に出来る事があったら何でも言ってください!!私も何か力になりたいんで。」