Pathological love
「優ちゃん………ありがとう。じゃあ早速だけど私、この日の為にお茶のセットを持ってきたの。美味しいスイーツも買ってきたから温室の喫茶スペースにセッティングしてくれる?」
「はいっ!」
踵を返して踏み出そうとした瞬間、外邑さんに呼び止められた。
「優ちゃんの分もあるから、後で休憩の時一緒に食べよ!」
「はいっ!」
私は心からの笑みを浮かべて返事をした。
外邑さんはいつも私に癒されるとか、天使だとか言うけれど、私にとって地上の天使は外邑さん以外に考えられない。
私がこの仕事に着いた切っ掛けの人だから。
うちの病院は終末期の患者さんのケアの一貫として、冬に温室を解放する。
温室で咲き乱れる花は、患者さんの心を和ますのに一役買っていて、ついでに私の心も癒されている。
「あぁ~…暖かいなぁ。おぉ、水仙もこの前まで蕾だったのにもう咲いてる!!」
少しだけ寄り道して温室の中を散策していると、遠くのベンチに人が座っているのを見つけた。
「この時間に温室に来てるなんて、どうしたのかな?きっと皆捜してるよね?」
私はベンチまで小走りに向かって行った。
「こんな所で何してるんですかぁ~?まだこの時間は部屋に居ないと皆心配します…よ…?」
振り向いた女性を見て私は、何か不思議な感覚を覚えた。
見たことの無い人だったけれど、何処かで見た様な感じ。