Pathological love
「ほら、座りなよ………お姉さん。」
「お姉さん………て何よ。」
「だって、俺年下だし~…目上の者は敬わなくちゃいけないんでしょ?」
ニッと片方の口角を上げて笑うと、長い前髪の間からキラリと瞳が光った。
「何よ………人の揚げ足とってそんなに楽しい?」
「フフッ…悪かったよ。この時間まで飯抜きで仕事だったんだろ?」
「何でそれを………ー」
「ほら、箸。熱いうちに食べなよ。」
「えっ?………うん。」
目の前のお皿には、湯気のたった美味しそうな寄せ鍋の具が盛ってあった。
(うわ…美味しそう。お鍋なんて家で食べたの初めてかも………。)
「フゥー…フゥー…………………美味しい。こんなに美味しいお鍋………初めて…凄い。」
「べっ別に普通の鍋だって…誰でも作れる。」
「こんな美味しい鍋、誰でも作れるの?料理したことのない私でも?」
「あぁ、簡単だよ。具材切って適当に煮れば出来る。」
「………でた。料理人の“適当”発言。その適当が分からないんだってば。適当でやって、こんなに美味しい鍋作れるわけないでしょっ!」
熱弁してふと前を見ると、男は口を押さえて俯いている。
「何よ…いい歳して料理も出来ないってバカにしてんの?料理が出来なくたってー」
「違うから。」
「えっ?」
「………手料理初めて人に食べさせたから…、そんなに褒められると…なんてゆうか…」
「照れてんだ?フフッ!な~んだ年下らしいとこあるんじゃない。」