Pathological love
いつものコンビニで、自分の分と合わせておにぎりやサンドウィッチなど、仕事の合間に簡単に口に出来る物を買う。
(こんなもんでいっか………どうせ残すんだろうし………。)
俺の事務所の花形デザイナーは、今、正にスランプ状態だ。
部屋中近寄りがたいオーラをビンビンに放って、連日ピリピリしている。
それもこれも、俺が余計な事をした所為でもあるから、見て見ぬ振りは出来ない。
罪悪感に刈られた俺は、毎日様子を見に通っていた。
「オッス~…入るぞ~…………。」
まず声を掛けても大体がシカトされる。
部屋中に転がった紙屑をいくつか拾い、ゴミ箱に捨てると近くのテーブルにわざと音を立てて買い物袋を置いた。
「…………………。」
部屋の主はチラリと俺を確認して、手元の書きかけのスケッチを破いて丸めるとまた床に転がした。
「全然集中出来て無い様だな?いつものやつ………まだ、降りてこないのか?」
「………簡単に…言う…な…………」
聞こえるか聞こえないかのギリギリの声量で、全く覇気の無い声が返ってきた。
いつもなら、どんなにスランプに陥っていても、困難に向かって目だけは闘志を燃やして生き生きとしているのに、その瞳には今は何も映していない様に見えた。
「あぁ~!!!俺が悪かったよっ!!俺が最初に話を合わせるようにいった所為だろ?でも、別に婚約しろとは言ってないぞ俺はっ!!」