Pathological love
この後どう続けていいか言葉に詰まっていると、彼女は綺麗な顔に困った様に少し眉を寄せた。
「すいません。婚約が破棄になった相手が顔を出してしまって………でも、仕事の件で少し話があって………秋山さんはいらっしゃいますか?」
あんな事があったのに彼女は、まるで何とも無いとゆう風に淡々と話している。
この人も秋山と同じ考えの持ち主なんだろうか?
彼奴でさえ、今回の事であんなにおかしくなっているのに、もしかしたら秋山の方が振られたのだろうか?
ぐるぐると頭の中で考えていると、隣から声が響いた。
「此方へどうぞ!」
「えっ?」
驚いて美島を向くと彼女は小さくウィンクして、俺の耳元に小さく囁いた。
「ショック療法が効くかも。」
案内を買って出る彼女を目で追いながら、俺は内心ドキドキハラハラがMAXになっていた。
水川さんが秋山の部屋に入った後もずっと声を潜めて近くで待機していた。
暫くして、美島だけが部屋から出て来た。
「なっ中、大丈夫だった?」
「案ずるより産むが易しってね。それより、まだ会社に居てていいの?」
美島が腕の時計をトントンと突いた。
「へっ?…………やべ!!新規の営業先にアポ取ってたんだった!!俺、行かなきゃ!!」
慌てて鞄を取りに行く俺の後ろで美島が笑顔で手を振っていた。
「いってらっしゃ~い!!」