Pathological love
私は彼を見ないようにして黙々とスープを口に運んだ。
終始ずっと一人で何かを喋ってみたけれど、隣からの相槌や動きは無かった。
(結構、自信作だったんだけどな………。)
「用が済んだならそろそろ帰ってくれないか?」
冷たい言葉がまた、胸に刺さった。
「気が散るんだ。」
まだ帰りたくない。
ここで帰ったら、何にも変わらない。
「………いいえ、帰らない………絶対帰りません!!私は間宮印刷の営業として、あなたの広告デザインをいち早く回収しないといけないんです。納期が遅れているのは知っていますよね?これじゃあこのプロジェクトに携わる人は仕事になりません。だから、私は秋山さんを手伝い、監視する様に上に指示されました。ですから、帰れません!」
嘘八百もいいところだ。
上からはそんな事、一切指示されてなんかいない。
指示されてるとしたら、全てを取り仕切っている山川くんだろう。
「………………。」
「さぁ、スープを食べないならそこに置いて、さっさと仕事してください。」
彼の手から無理矢理スープジャーを取ると、私は蓋をしてテーブルに置いた。
「どこまで進んでるんですか?」
「………………。」
「秋山さん!これは仕事なんです。プロなら私情を挟まないでください。」
私の言葉に感化されたのか、連理はやっと私の目を見た。
何か吹っ切れたような、強い視線。
「分かった。」