Pathological love
PCを覗くと、ポスターの原案が仕上がっていた。
妖精の様に綺麗な女性が薄いエメラルドの裾の長いドレスを纏って佇んでいる。
「綺麗………なんだ、殆ど出来てるじゃない!」
「…こんなんじゃダメだ。俺の中で再生がテーマなんだ。ポスターは何とかなるけど、CMの様に動くとなると、またイメージが崩れる。上手く皆にイメージが伝えられない。この女性は何処から来たのか見た人に想像させたいんだ。」
「何処から…う~…ん。」
(再生てゆうことは………再び新しく生まれる………か。)
「…………この商品持ってるか?」
「うん。仕事用に何時も持ち歩いてるけど………。」
「もう一度、試してみたいんだ…今度は俺がやってみたい。」
「えっ?!やるって………私に?」
「嫌か?」
「嫌じゃないけど………出来るの?」
「簡単なやつでいいから教えて。」
「分かった。じゃあ、ちょっと待っててメイク落として来るから。」
私は急いで御手洗いに駆け込んだ。
少しずつ打ち解けて来てるこの状況を逃したくなかった。
親しい同僚としてでいいから、これをチャンスに元の二人の感じに戻りたい。
「ごめん、待った?」
「いや。」
「じゃあ、準備するね。」
私はデスクの上に試供品の化粧品を並べ始めた。
「それじゃあ、取り敢えず簡単なファンデとアイシャドーしてみようか。アイシャドーは難しくない様にグラデーションになっているからそのまま塗ってみて………はい。」
コンパクトを彼の手の中に置いてみる。
「キラキラして綺麗だな。」