Pathological love
明らかに照れた様子で動揺する男を見て、初めて主導権を握れたようで、一気にテンションが上がる。
「…黙って食べろよ。お代わりは?」
「食べる!」
「飲み物は?ビールなら有るけど………飲む?」
「いっいいの?」
「今更、遠慮するタマかよ………ほら。」
憎まれ口を叩きながらも、グラスを持ってきてビールを注いでくれる。
「あ………ありがとう。あなた言ってる事とやってる事が全然違うのね?」
「はぁ?」
「言ってる事はいちいち癇に障るけど、結局のところ世話焼きってゆうか、優しいってゆうか…う~…ん何だろう………あぁ、そうだ!まるで母親みたいな………感じ?」
目の前で思いっきり溜め息を吐くと、男は片手で頬杖をついて不満そうな顔をした。
「何でそうなるわけ?初めて言われたんだけど………。」
少し怒った風に私を見つめる目が、前髪の間から覗いた。
じぃーっと見つめられて言葉に詰まっていると、ポケットから聞き慣れた着信音が鳴った。
「ごっごめん!ちょっと電話!!…………はっはい!水川です!!」
『水川くん、一体どうなってるんだ?こんな大事な時期にあの噂は本当なのか?』
「お疲れ様です。赤坂部長、あの………噂とは一体何の事でしょう?」
『知らないのか?!君が女子社員に金銭を渡して、関係を強要していたと社内で噂になっている事を………上に知れたら今度の昇進の話も無くなるぞ!!』
「誤解ですっ!!彼女に聞いて貰えれば分かります!!」