Pathological love
「フフッ…女性はキラキラ可愛いものが大好きだからね。化粧品はそうゆう所もこだわるの。」
「へぇ~。」
「じゃあ、下地は塗って来たからファンデを全体的に乗せてみて。」
素っぴんで目を閉じると、何だか気恥ずかしくて落ちつかない。
彼の微かな息遣いを感じながら待っていると、漸く頬にパフが触れた。
「そう、そんな感じでどんどん塗ってみて。」
「分かった。」
連理は丁寧に優しく私の肌に触れてくるから、目を閉じている間もドキドキと胸が熱くなった。
目を閉じているからよく分かる、彼の体温、匂い、声。
私の身体は全てを感じたくて、瞳以外はフル稼働だ。
「こんなもんかな………。」
「終わった?目、開けていい?」
「あぁ…。」
ゆっくりと目を開けると目の前で、彼が私を見つめていた。
観察するように、じぃーっと見て、鋭い眼光の奥の瞳はさっき迄とは違い、生き生きと輝いている様に見える。
「………あ…あの………。」
「………………。」
「さっ再生がテーマなんだから、私も生まれ変わったみたいに見える?なんちゃって!!」
「生まれ変わる………?」
私は、不安になり手鏡を取りに行こうと立ち上がると、急に腕を掴まれた。
「生まれ変わる………?!そうか…そうだ!令子そのままこのソファーに凭れて横になってくれる?」
「えっ?!」
言われるままソファーに座らせられると、連理はスケッチブックを広げている。
「えっ?私を描くの?!」
「少し…黙って!」
真剣な眼差しに私はそれ以上何も言えず、黙って言われた通りにすることにした。