Pathological love
17. maternal
最終的なイベントの打ち合わせをする為に、私は白精堂に来ていた。
後はイベントの進行手順と会場のレイアウトの微調整くらいで、殆どが仕上げに近い状態。
私達はお茶や差し入れのお菓子などを食べながら、すっかりリラックスモードで仲の良くなった担当の加藤ちゃんとお喋りをしていた。
「加藤ちゃんって本当にフリーなんですか?絶対いるでしょ彼氏!」
恋愛トークに花が咲いているノリで美保ちゃんが質問する。
「さぁ、どうでしょうか?」
「あぁ~!またはぐらかすんだから、狡いですよ!!」
「美保ちゃん!そんなにぐいぐい行ったら加藤ちゃんに嫌われるよ?」
「ええ~!?それは困ります!!飲み友は貴重ですから!!」
「フフフッ!そんな事で嫌ったりなんかしませんから安心してください。」
明るく爽やかな笑顔の裏に、何やら隠し持っていそうな加藤ちゃんに、私達は上手く交わされながらも楽しい時間を過ごしていた。
「そう言えば、一緒に打ち合わせするとか言ってたのに、美鈴さんはあれ以来一度も来ませんでしたよね?形だけって事だったんですか?」
「美保ちゃん!!」
美保ちゃんの随分とストレートな言い分に、慌てて彼女を嗜めると、加藤ちゃんは顔色一つ変えずに答えた。
「私の前ではいいですよ。美鈴さんは何時もの事ですから…………。何時も気に入った人を見つけては、社長に頼んで仕事を一緒にさせるんです。熱が覚めるとあっさり切りますが、まさか今回は婚約までするとは思いませんでした。秋山さんには相当本気なんでしょう。」