Pathological love
『その女子社員は、早退してから連絡が取れないんだ。だから君自身が上に誤解を解かないといけない。出来るか?』
「それ…は…………」
(急にそんな事言われたって………。)
『その………君にはいないのか?』
「えっ?」
『こんな事口にすると、セクハラだとかモラハラだとか言われ兼ねないから、口にしたくないんだが…………。』
「私は構いません。それで…………何でしょうか?」
『だから…その………交際している男とかいないのか?君もそろそろ結婚する歳だろ?今月の定例会食で君の相手を紹介してくれれば、手っ取り早く誤解も解けるんだが。』
「相手…ですか?」
(どうしよう…そんなすぐ相手なんて見つからない。)
一瞬、頭の端に誰かが過った気がしたけど、私はわざと思い出さないように蓋をした。
「あの…今はいませんが、適当にいるって言って置けば大丈夫なんじゃないでしょうか?」
『何甘い事言ってるんだ!!君にしては随分浅はかな考えだな。口先だけであの老獪達を言いくるめられると思うのか?余計変な噂が立つぞ!!』
「そう………言われましても………。」
電話口で大きな溜め息が聞こえる。
(私だって溜め息が出るわよ………でも、仕方が無いじゃない。)
『全くいないようなら、私が紹介しようか?』
「えっ?紹介ですか?!」