Pathological love
あまり女性が吸わなそうな、強めのシガーの香り。
「ごめんなさいね………ベビースモーカーなの。それで、連理の話って何かしら、よりを戻したいとか仲を取り持って欲しいとかゆうのなら、私に頼っても無駄よ?私、あの子に嫌われてるから殆んど顔を合わせないの。」
「………そんなんじゃありません。」
隣でフゥーっと煙を吐き出しながら、私を横目でじっと見ている。
「あの子の話なら結構よ。どうでもいいもの………これ以上話が無いならー」
「どうしてですかっ?!母親なのに……どうしてそんな事が言えるんですかっ!!!」
“どうでもいい”私はこの一言で無意識に、大声を出していた。
クールな表情を崩して、目を丸くしている秋山代表に私は畳み掛けた。
「彼はあなたが大好きなのにっ!!」
「…………それは、あの子かそう言ったの?」
「いいえ………でも、分かります。彼の生き方を見ていれば分かります。自分では吹っ切ったつもりで生きているみたいですけど、全然引きずっているんです。子供の頃、あなたに見捨てられたと思っています。それで未だに誰も愛すことが出来ません。」
連理の現状を知った秋山社長の顔が崩れた。
「あの子が人を愛せない………?また、大袈裟な。ただお遊びが過ぎるだけでしょ?父親にそっくりだわ。」
「いいえ、違います。………彼の愛は歪んでいるんです。あなたから貰えなかった愛情を欲しがって、関係を持つくせに、誰も傍に置こうとしません。」
「…………………そう、あの子が………確かに私の所為ね。」