Pathological love
「挨拶に行きましょうか?」
「えっ?」
「もうそろそろ解放されると思うんで、行きましょう!」
何も事情の知らない加藤ちゃんはさっさと向かってしまった。
「令子さん……行けます?」
ばつの悪そうな顔をして、美保ちゃんは私を伺う。
本当は凄く会いづらかったけれど、お祝いを伝えたい気持ちも強かった私は、意を決して向かう事にした。
「秋山さん、間宮印刷のお二人が来てますよ!」
「?!」
連理は私達の姿を確認すると、一瞬目を逸らしてまたゆっくりと向き直った。
「おめでとうございます!!秋山さん。かなりの話題になってますよ!!CMの世界感がとても幻想的で素敵です。あのミステリアスな女性もとても魅力的で、次回作が楽しみです!」
「……ありがとう。」
「…………………………………。」
何と言ったらいいか言葉に詰まっていると、加藤ちゃんが不思議そうな顔をしているのが目に入った。
「あっ!あのー…加藤ちゃん!!お化粧室教えてくれません?!」
「えっ?あぁ、はい……美保さんこちらです。水川さん、秋山さんちょっと外しますね?」
訝しげな顔をして加藤ちゃんは美保ちゃんを連れて行った。
二人残されて、更に気まずい雰囲気が拡がる。
(お祝いだけは言わないと……)
「あ、あの……おめでとう!!あのCM凄く綺麗だった。」
「あぁ……あれは、あの時……手伝ってくれたから……」