Pathological love
「えっ?私、役に立ててたの?本当に?!」
「あぁ…お陰で気づけたから…ありがとう。」
照れ臭そうに口に手を当てて、少しそっぽを向く姿が懐かしくて私は途端に嬉しくなった。
「美鈴さんもモデルになれて喜んでたわよ?良かったじゃない。」
胸が痛い。
心にもない言葉で自分を傷付けても、もう少し話をしていたかった。
「私にあんなこと言ってたくせに、ラブラブじゃない!」
「……本気で言ってんのか?」
「えっ?」
「もういい……じゃあな。」
「待って!」
去っていく彼の背中が何故か怒っていて、この前の夜に重なる。
(またこんな別れ方したらダメだ!)
「連理待って!!この前、あなたのお母様と話したのっ!!」
離れていく背中が止まった隙に、チャンスとばかりに私は駆け寄った。
「連理!お母様ともっとちゃんと話した方がいいよ!お互い誤解してる!昔は色々あったのかも知れないけど、今ならー」
「勝手なことすんなっ!!」
連理の怒鳴り声で、会場内が一瞬にして静まり返った。
私の身体も凍りついたまま動けないでいる。
こんなに怖い連理の顔は初めてだった。
「俺の何を知ってるんだっ?……何様気取りなんだよっ?!余計な事すんなっ!!」
心臓が張り裂けそうに胸を叩いている。
「もう、俺に関わるな……顔も見たくない……。」
ざわつき始めた会場の中、私は呆然と立ち尽くしていた。