Pathological love
俺は行きつけのバーのAlternativeの個室を予約して待っていた。
本当は彼女の事を、昔の男からは聞きたく無い、それでも俺はそうせずにはいられなかった。
待ち合わせの時刻10分前になると、オーナーに連れられて徳永さんが個室に入って来た。
「こんばんは。お待たせしました。」
「いいえ、まだ約束の時間じゃありませんから……座ってください。」
「とても雰囲気のいい店だ……気に入ったよ。」
「どーも……。」
「初めて来ていただいたので一杯サービスいたします。何に致しますか?」
「取り合えずビールで。」
「かしこまりました……秋山さんはいつもので。」
いつものミステリアスな笑顔を浮かべてオーナーの綾野さんは下がって行った。
飲み物が揃って、それぞれ喉を潤すと俺は話を切り出した。
「今日徳永さんを呼んだのは、令子について聞きたい事があったからです。」
「令子?婚約を一方的に解消したくせに、未だに婚約者気取りか?」
痛い所を突かれて言葉に詰まったけれど、予想してた事だ。
今更後には退けない。
「すいません……確かにそうです。それでは水川さんについて教えてください。」
「俺と彼女の事は誰から?」
「噂好きの女子社員の方から……まず初めに本当かどうか事実関係を教えてください。」
俺は真剣に目の前の男を見つめた。
ここまで来て変にはぐらかされたくない。
「答えてください。」
徳永さんはフッと軽く鼻を鳴らすと、ビールに口をつけた。
「噂は本当さ…俺と令は昔、付き合っていた。彼女は知らなかったが不倫とゆう形でね。」