Pathological love

「えっ?」


「でも、君にも捨てられたら、令はどうなっちゃうんだろうな?俺はいつでも令を受け入れる準備が整っているんだが……。」


「えっ?」


「とにかく、俺が知っている事はこれくらいだよ。敵に塩を送る様な事はここまでにさせてくれ。俺にもプライドがあるんでね。君がどんな選択をしようとそれは自由だ。……悪いがこれで失礼するよ。」


徳永さんの空になったビールグラスを、ただ見つめながら俺は考えていた。

令子もまた、俺と同じで苦しんでいた?

そんな彼女に俺は何をして、何を言った?

頭の中がぐちゃぐちゃでどうしたらいいのか分からない。

何分、何時間そこに居たのだろう。

すっかり賑わいの薄れた店内で、俺はノックの音で我に返った。


「はい!すいませんオーナーもう閉店ですよね?今、出まー」


「こんばんは。」


声の先を見ると珍しく私服姿の黒木さんが立っていた。


「黒木さん……。」


「偶然と言いたいところですが、これは私による必然です…オーナーに頼んでいたんです。あなたの様子がおかしい時は連絡をと…。」


「そう…だったんですか……。」


「はい。」


久し振りに見た黒木さんは、変わらぬ笑顔で俺を包んでいた。


「黒木さん……俺、自分が一体どうしたいのか、すっかり分からなくなってしまいました……。」


「そうですか……それじゃあ、一緒に整理しましょう。私に話てくれますか?」


「…………はい。」


黒木さんの優しい声のトーンに、俺は堪えきれず俯いた。



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