Pathological love
ドンッと胸に何かが刺さった様な痛みが走り、それをきっかけにドクドクと心臓が私の胸を叩く。
「お母さんっ!!」
ドアを開けると、ピーッとゆう電子音が鳴り響く中、担当医が聴診器を当てている。
「先生っ!?母はどうなってるんですか!?先生っ!!」
「……呼吸器を付けて延命処置は出来ますが、意識は戻るか分かりません……どうしますか?」
「どうしますかって……そんな、そんな事急に……言われても……そんな……はぁっはぁっはぁっ………………」
「令子ちゃん、落ち着いて呼吸して!お母さんは痛みに耐えて、十分頑張った!頑張ったのよ?」
私の肩を抱く外邑さんは、目を真っ赤にして、私を見つめていた。
きっと相当苦しんで、痛みに耐えてきたのだろう。
そんな時も一緒にいてあげられなかった……それなのに、どうして、私の為にもっと苦しめと言える?
「もう…………十分です。………………そのまま、………………逝かせてあげてください。」
「分かりました……本当に宜しいんですね?。」
宜しい?宜しくなんてない…………いいわけないじゃない!!
どんな姿でもずっと生きてて欲しい……居なくならないで欲しい。
「………………はい。」
目の前で少しずつ死んでいく母を見ながら、私はそれをただ見つめていた。
「…………ごめん…………ごめんね…………お母さん………………。」
胸が押し潰されたように息が苦しい。
怖い
怖い
お母さん……本当に死ぬの?
私、独りになるの?
怖い
怖い
「令子ちゃん!?令子ちゃん!?」
外邑さんの声を遠くに聞きながら、私の意識はそこで途切れた。