Pathological love
19. eternity
「ねぇ!あのCM見た?」
「もしかして、化粧品のやつ?」
「あぁ!見た見た!前、再生回数ヤバかった化粧品のCMの新しいやつでしょ?」
「そそ!あのモデル誰?めちゃ綺麗だよね?」
「あれ多分CGでしょ?綺麗過ぎるじゃん。」
「それな~!!」
「あっ!見て見て!あのTVに映ってる!!」
ファーストフードで騒いでいる女子高生が、街の大型モニターを指差した。
店内の何人かの客もつられて視線を向けた。
モニターに映し出された、女性が閉じこもっていた殻から飛び出すように躍り出て、閉じていた瞳をゆっくりと開ける。
“私は、何度でも生まれ変わる……再生”
モニターの中の神秘的な女性がそう口にすると、周りの全ての景色も再生して瑞々しい森が出来上がった。
森の木々の根元に凭れながら、森の一部とでもなったかの様にその女性が微笑んでCMが終わる。
「超キレー……マジであんなんなるなら、欲しいよねーあのファンデ。」
「うちのお姉ちゃん使ってるけど、めっちゃ綺麗に仕上がってるから、この前こっそり使ってみたんだけど、マジやばかった!!欲しーわ!!」
「シリーズ色々出てるけど全部欲しい!!」
「それ無理でしょー!」
女子高生の笑い声が店内に響いた。