Pathological love
手に持っていた焼き鳥の串を振りながら、友に合図をして、スーパーの袋からワインを引っ張り出した。
最近ハマっているボルドーワインだ。
若い時は甘いカクテルばかりだったけど、日頃の接待の賜物か、三十路を過ぎる頃には赤ワインを始め、日本酒に焼酎も大分イケるようになった。
「ねぇ~~…友~!大人になると食べられなかった物が食べられるようになったりするでしょ?それって、子供の頃より舌が老化して、鈍感になるからなんだって~。知ってた?私さぁ、最近嫌いだった物がどんどん食べれるようになってきててさぁ。あぁーー………もう、舌まで年取ってくよ~。ねぇ?友~~?聞いてる~?」
「もう~…令ちゃん!れおくんが起きちゃうでしょ!!」
友は暫くして部屋に戻って来ると、少し怒った顔をしながら向かいの座布団に座った。
「いいじゃない。令ちゃんはもっと鈍感になる必要があるわ。全てにおいて…ね?」
意味深に私に目配せをすると、友は喉が渇いていたのかウーロン茶を一気に飲み干した。
「あぁ~…疲れたぁ!れおくんかなり重くなってきたから抱っこも大変になってきたなぁ。よし!食べるぞ~!!」
「食べな食べな!!焼き鳥いっぱいあるから!!」
痩せてる割りに大食いの彼女は、両手に焼き鳥とおにぎりをそれぞれ持って、美味しそうに食べ始めた。
「本当に…令ちゃんって…焼き鳥好きだよね~…。あっ美味しい!!これ何て言う部位?」