Pathological love
花枝はお腹を抱えて笑っている。
「他人事だと思って………笑いすぎだし。」
「だって、超肉食のあんたがビアンなんて、有り得なさすぎて………ククッ…!」
「うるっさい!」
憎まれ口だけど、噂を信じてない前提で話してくれる事がありがたい。
花枝は昔から、真面目で正義感が強い。
秘書業も誰よりも抜かりなく、完璧にこなす。
いい意味で女々しくない所に、私は一目置いていた。
「何であんな噂たったのよ?」
「事故なの。よろけて新人の子のブラウス破っちゃったの………運悪く、弁償しようと思って、お金を出してるところを目撃されたってわけ。おまけに巨乳だったから、余計、生々しく見えちゃって………。」
私は外人並みに、大袈裟に両手を上げると困った顔をして笑った。
「それで、援交ってわけね……ククッ……。」
「仕事だって忙しいってのに、やりづらいったらないわ。男だけならまだしも、最近は女にも口説かれそうなんだから本当に最悪よ………。」
「本当に参ってるみたいね?しょうがない、秘書課には本当の事、然り気無く流しとくわ。うちは噂の情報網だからすぐ回ると思うし、少しは仕事しやすくなるんじゃない?」
花枝は飲み終わった紙コップを片手に立ち上がった。
「どうゆう風の吹き回しよ?」
「令子には貸しを作っとかなきゃ。これ以上白川部長にちょっかい出されても、秘書として私が困るのよ。」
「アイアンウォールも伊達じゃないわね。」
「やめてよ、そのあだ名。不本意なんだから!!」
「フフッ。あんたに守られてる白川部長が羨ましいわよ。私もアイアンウォール一体、欲しいわ。」