Pathological love
「でも、令子は大人しく守られるタイプじゃないでしょ?………じゃあね!」
「花枝、ちょっと待って!」
「ん、何?」
「早くベイビーの顔、見せてね!」
「うるさいっ!!」
そう言うと花枝は真っ赤な顔して休憩室を出ていった。
こう言うところがやっぱり可愛いのだろう。
つい、からかいたくなる。
さっきまで落ち着かなかったのが嘘のように、気分が良くなっていた。
最近結婚して、花枝は益々明るく綺麗になった。
他人を気遣う余裕もある。
「結婚ってそんなにいいものなの………?」
煙草の火を消して立ち上がった時だった。
ポケットの携帯が震えて、待ちに待った人から連絡が来た。
「はい!水川です!お疲れ様です!」
『おう。お疲れ………この前の件だけど、急だが明日、時間取れるか?』
(明日かぁ~……仕事詰まってるんだけど………でも、背に腹は変えられない。)
「大丈夫です!!宜しくお願いします!!」
『そうか、相手の都合なんだ…悪いな。場所はいつも接待で使ってる料亭 笹くにだ。重役の贔屓の店だから、それとなく上に伝わるし、好都合だろう。』
「はい…分かりました。部長は相手の方と来られるんですか?」
『いや、私は行かないよ。私が引き合わせたとなると、疑われる可能性もあるからな。油断できない。お見合いじゃないし、気軽に食事をすると思って行ってこい。』
「分かりました。………あの、それで相手のお名前は?」
『ああ、………山田 和也(ヤマダ カズヤ)だ。 君の事は伝えてあるから。じゃあ、頑張れよ!』
「はいっ!!失礼します!」
(よし、失敗は出来ない…なるべく気に入られる様に頑張らなきゃ!!)