Pathological love
「企みなら令子の方があるんじゃないの?あの、噂が原因なんでしょ?赤坂さん、急に俺の所に打診しに来たし。」
(れっ令子って…いきなり呼び捨て?)
「…………………。」
「そこまでして昇進したいわけ?」
「あんたには関係無いでしょうっ!!私は恋も愛も二の次!仕事が…昇進する事が全てなのっ!!」
何かの不満を、ずっと誰かにぶつけたかったのかも知れない。
気づくと私は場所もわきまえず、思いきり吐き出していた。
目の前の男は驚きもせず、私の目を見つめたまま口を開いた。
「いいんじゃない?いいと思うよ?」
「えっ?」
思いがけない肯定の答えにすっかり毒気を抜かれた私は、呆然と彼を見ていた。
「だってそうだろ?考え方は人それぞれだし…、俺も強制されたくない。ただ、どうしたいのか聞いただけ。それでお互い意見が合致すれば協力出来るし。」
「………確かに…そう…だけど………。でも、協力って、どうゆう事?」
「令子は、会社で広まったレズビアンの噂を払拭して、昇進したい………そうだろ?」
「ええ…。」
「俺は、日本で知名度を上げる為にパートナーが欲しい。どうしても、この歳になるとパートナーが居ないと、プライベートに難有りと思われるからな。形だけでも欲しいんだ。」
「でも、それなら別に私じゃなくてもいいんじゃないの?あなたなら、寄ってくる女だって、いっぱいいるでしょ?現にうちの会社の女子社員だって、狙ってる子いっぱいいるわよ?」
「そんなの分かってるよ。でも、駄目なんだ。俺を好きになる子とは組めない。」