Pathological love
翌日になって、私達の婚約の噂は瞬く間に広まっていった。
午後から赤坂部長が出社した時に、正式な挨拶もする予定だ。
そこまでしなくてもとあの人に言ったけど、念の為だからと押し切られてしまった。
「こうゆうの…苦手なのよね。」
休憩室で一服していると、扉がバンッと開いて、お馴染みの顔が飛び出して来た。
「おい!令子!!どうゆう事だ?お前が婚約!?嘘だろっ?!」
同僚の藤森 圭の慌て振りに、自分が結婚のイメージから、程遠いのだろうと改めて実感する。
ちょっとショックだ。
「何よ?悪い?私だっていい歳なんだから、婚約くらいするわよ。子供だって欲しいし。」
(…子供?)
自分で言っていてある事に気づく。
「マジかよっ!?信じらんねーーー!!お前が婚約?!」
藤森が休憩室でのたうち回っている間、私は違う事に頭が回っていた。
(フリーの相手がいれば、もしかして、子供もお願い出来るんじゃ………ー)
「おい!令子!!聞いてんのか?!」
「えっ?はい!何っ?」
「お前だけ幸せになるつもりなのかよ~…。」
「あんた、まだ引きずってんの?花枝の事。」
「…………………。」
藤森はこの前まで、秘書課の花枝を好きだった。
花枝が結婚してしまった後に、自分の気持ちに気づいて、我慢出来ず告白してしまったが、案の定撃沈した。
「馬鹿ね。」
「うるせー………。お前だって、付き合ってるやついたんじゃないのかよ?」