Pathological love
仕事を終えて、時間が出来た日は、窮屈なネクタイやジャケットを脱ぎ捨てて、俺は夜の街に繰り出す。
デザインの仕事は好きだ。
自分の中の想像や妄想、理想や現実、色んな物を表現できる。
でも、俺のリアルな欲は現実の世界でしか手に入らない。
「連理~!来たんだぁ!!来るなら誘ってよ~!!一緒に来たかったぁ~!」
「急に時間が空いたんだ……ごめんな?」
手慣れたように、女の頭を優しく撫でると、あっとゆう間に女の顔は緩み、恥ずかしそうにはにかむ。
「いいよ…許してあげる。」
女なんて簡単なもんだ。
だから可愛いくて、いっぱい欲しくなる。
「ねぇ、飲み物取りに行こ!」
さっきまでむくれていた女はコロッと変わり、今はニコニコして俺の腕に絡み付いて俺を誘う。
(今日はこのコにしようか…。)
爆音が流れるグラブ。
皆、本能のまま音に身を任せ、この一瞬を楽しんでいる。
俺はこの刹那的な空間が好きだ。
気になる女を見つけたら、口説きに行き、相手が答えれば身体を繋げる。
彼女達は、俺の心の空っぽな空間を埋めてくれた。
それが嬉しくて、もう一つ…もう一つと集めてしまう。
「あ~…腹減ったな。」
「なぁ~に?連理、ご飯食べてないの?」
「うん。仕事終りに直ぐ駆けつけたから。」
「じゃあ、この後どっか食べに行く?莉奈もなんか食べた~い。何にする?」
「………また鍋…作ろっかなぁ?」
「やだぁ~!何の冗談?!連理が料理なんて似合わなすぎ!!またいつもの冗談でしょ?」
「………………そう、冗談だよ。」