Pathological love
壊れたままになっているベランダを通って隣に入ると、さえ箸を持ったまま仁王立ちしている彼がいた。
「何処で油売ってたんだぁ?料理がまだ、途中なのに………。」
「ごっ…ごめん。ちょっとだけ、部下と談笑を………。」
「談笑?!俺が一生懸命料理を作って、令子の帰りを待ってたのに?」
「………………………。」
「よーし!いい度胸だ!今日のメイン、しょうが焼きを作ってもらおう!」
「えっ?無理、無理!!私、そんなの作ったこと無い!!」
「俺が監督するから、取り敢えず作ってみて。」
「え~………。」
「ほら、チャッチャとする!!」
「………はい。」
ふて腐れた顔でキッチンに立つと、後ろから何かが降ってきた。
「はい、腕上げてて……………………よし、出来た。」
自分の身体を見ると、水色にピンクの花柄が散りばめられたエプロンだった。
「わぁ………何これ?私の?」
(可愛い………。)
「俺から料理………習うんだろ?」
「はい!先生!!」
自分の趣味に、どストライクの柄に、つい我を忘れてはしゃいでしまう。
「そんなに気に入った?」
(しまった……年甲斐もなく、浮かれてる………はずい。)
チラリと連理の様子を盗み見ると、何やら満足そうな笑顔で私を見つめていた。
「なっ何?じろじろ見ないでよ。」
「エプロン似合うじゃん…………可愛い。」
「えっ?………そう?大人になってからは、初エプロン。」
「嘘!マジ?令子の初めてのエプロン戴きました!!」
「何、浮かれてんの?」