Pathological love
鳴り響く電話の呼び出し音。
人気の無い土曜日のオフィスで、忙しなく動き回ってるのは、他でも無いこの私だ。
「小森くん!!修正は進んだ?リミット迫ってるから、直ぐ確認して来て!!」
「さっきデザイン部に行って来たんですけど…何かテンパってて…中々進んでない様子で………」
「そんなこと言ってる場合じゃ無いでしょ?今更、外注には出来ないんだから、さっさと煽ってきなさい!!出来ることは手伝ってきて!私は出来るだけ印刷待って貰うように掛け合うから!さぁ、早く行って!!」
「はい!!」
ここまで来るのに、だいぶリテイクをくらい、やっとゴーサインが出たかと思ったら、入稿前に直しが入った。
こちらのミスでは無いが、ギリギリのラインでの修正だった為、断る事も出来ず、現状この有り様だ。
大手M&Jの大口の仕事だから、無下にする事も出来ず、たまに、こうゆう事態になる。
M&J担当の小林がとにかく厄介で、単なる凡ミスなのか、女だからと見くびっているのか、いつも無理難題を吹っ掛けてくる。
デザイン部なんか無ければ、ただ、デザイン事務所からの入稿を待っていればいいのだが、最悪なことにうちのデザイン部のこれが初仕事だった。
「すいません。後どのくらい待てます?はい………はい。田中課長、いつもすいません!!今度お礼します!はい!じゃあ、お願いします!」
大きく息を吐いて、席を立つ。
どんなに時間を作っても、原本が出来なきゃ意味がない。
私はそのままデザイン部へと向かった。