Pathological love
初めて入るデザイン部のオフィスは、殺伐とした営業部のオフィスとは全く違って、お洒落なインテリアや観葉植物が置いてあった。
その中でも一際、目を惹かれるのは、大きな額に入ったデザイン画だった。
キラキラと光る素材で散りばめられたそのデザイン画は抽象画のようで、何が描いてあるのかは、よく分からないけれど、色んな色が絡み合って深さとゆうか、重み…みたいなものを感じた。
「水川主任…来たんですか?ちょっといいですか?」
小森くんは、私を陰に呼ぶと耳打ちした。
「本当にヤバイかも知れません。今作業してるあの子、新人みたいで、基礎知識しか無いみたいなんです。このままだと………」
「他の人はいないの?秋山さんは?」
「他の人は、今日は休みなんで連絡取れないし、秋山さんは事務所の仕事で今日は出張みたいで…。泊まりでは無いみたいなんですけど、連絡つかなくて、留守電に伝言しました。」
(あぁー…そう言えば、京都行くって言ってたっけ?)
「とにかく泣き言言ってもしょうがないから、あの子のサポートしましょう。」
暫くパソコンとにらめっこをしていた彼女は、急に立ち上がると、ポロポロ泣き出した。
「やっぱり、私、一人じゃ無理です!!取り返しのつかない事になったら………私…私…どうしたら………うぅ………」
緊張の糸が切れたのか、彼女は遂に泣き出してしまった。
「大丈夫ですか?泣かないで!」
小森くんが慰めに入るが効果がなく、酷くなっていくだけだ。