Pathological love
「はい!!………水川主任!俺に任せてください!!」
「入稿完了したら、報告忘れないようにね!」
「はいっ!!行ってきます!!」
小森くんを見送った後、穂純ちゃんと呼ばれる新人の子は、差し入れを買ってくると言って出ていった。
「あ~疲れたぁ~………。」
連理はソファーに倒れ込むように横になると、目を閉じた。
「俺、昨日から寝てないんだけど?出張明けに、殺す気?」
「こっちのいざこざに巻き込んで、悪かったわね。」
「本当に悪いと思ってる?」
連理は寝たまま私の方を向いて、片手で頭を支えた。
「思ってるわよ…今度、何か奢るわ。」
「奢らなくていいから、ちょっとこっち来て。」
「えっ?何?」
「頼むから、早く、時間がない………こっちに座って。」
横になったまま、ソファーの座面をポンポン叩く彼は何だか子供みたいで可愛い。
きっと数いる他の女にも、こうやって甘えて落とすのだろう。
「座ったけど、何?マッサージでもしろって?」
「いや………そうじゃなくて………」
連理は私の膝の上の手をゆっくり避けると、コロンと横になって、頭を乗せた。
「ちょっと………ここ会社なんですけど…誰かが来たらどうするの………?」
疲れて弱っている彼は妙にセクシーで、ついドキッとさせられる。
騒ぐ私に対して、うっすら瞳を開けて微笑んだ。
「別にいいじゃん………婚約してんだから………。誰も怪しまないし………それに俺、膝枕って…大好きなん…だ…………」
連理はそのまま、寝息を立てて気持ち良さそうに、眠ってしまった。
「………今日は助かったわ、見直した。……………しょうがないから、これで貸し借り無しにしといてあげる………おやすみ…連理。」
(あっ………誰かに膝枕するのも、考えてみたら……初めてだ。)