Pathological love

５. swinger

“ 次の料理は、王道の肉じゃががいい。”


そんな事をこの前連理にリクエストして、やっと待ちに待った日が来た。

連理は最近、自分のデザイン事務所の仕事が忙しくて、中々うちの会社には顔を出せなくなっていた。

帰りも遅いみたいだし、すれ違いも多い。

それでも私は粘って、粘って、今日の日を取り付けた。

疲れてる彼には申し訳無いけど、久々に一緒にご飯を食べたかったのだ。

本当の目的はそこだった。


「え～っと………まず始めに、野菜の皮を剥いて、カットして………合わせ調味料は、醤油と砂糖と………」


「水川主任！お疲れ様です！お昼、一緒してもいいですか？」


携帯から目を離すと目の前には美保ちゃんが爽やかな笑顔で立っていた。

手にはお弁当を持っている。


「いいよ。美保ちゃん、お弁当なんだ？」


「はい！節約してるので、飲み代稼いでます！」


美保ちゃんは、隣に座るとテキパキとお弁当を広げた。

お弁当の横には温かい湯気の立つ、スープジャーも添えてある。


「わぁ～！凄いね！こんなの毎日作ってくるの？スープも付いて美味しそう！」


「簡単ですよ。半分以上、昨日の夕食のおかずも入っているんで、朝はちょっと詰めるだけです。」


「へぇ～…それでも凄いな。私なんて一人でそんなに作れないもの。」


「秋山さんに教えて貰ってるんじゃないんですか？」


「そうなんだけど、最近、忙しくて会えてなくて。」


「それは寂しいですね？」