Pathological love
急いで降りて、後を追うと、今までに見たこともない様な服装をした連理が歩いていた。
どう見ても仕事の雰囲気では無かった。
ハットにピアス、モノトーンで決められたコーディネート。
それは明らかに、夜の男の性を醸し出していた。
緊張と驚きで、動悸が激しくなる中、私が更に尾行していると、彼は目的地に着いたのか、地下の階段を慣れた素振りで降りて行った。
(何?ここ…。)
暗く長く続く地下階段を覗くと、怖じ気づきそうになったけど、私は怒りに任せて突き進んだ。
一番下まで来ると重そうな扉がぽつんとあるだけ。
何の看板もないその扉は閉ざされていて、遠くの方から小さく音楽の様なものが聞こえている。
開けようかどうしようか迷ってる時だった。
急に内からドアが開き、大音量のクラブミュージックと共に、若いカップルが出てきた。
「うわっ!ビックリした!!」
「てゆーか、ビビリ過ぎだし!!ウケるぅ!!」
ガチャガチャうるさいカップルは一様に奇抜な格好をしていて、女の子の方はかなりの露出をしている。
「おばさん、入んの?そこ立ってられると、邪魔なんだけどぉ?」
「あぁ、ごめん!」
とっさに言葉を返して、中に入った。
初めて入ったクラブは、まるで別世界だった。
爆音が流れる店内。
キラキラ光る照明にブラックライト。
見えるようで、見えにくいお互いの顔。
DJの周りには曲に合わせて、揺れている人々。
「ここ…クラブ?」
呆然としながら、人混みを掻き分けて前に進む。
(連理が、何処かにいるはず。)