Pathological love
キョロキョロと辺りを見回していると、いきなり誰かに腰を引き寄せられた。
「お姉~さん!仕事帰り?スーツ姿がエロくていいね~!俺とあっちで飲まない?」
明らかに筋肉自慢の男が、上腕を見せびらかしながら近寄って来た。
「悪いけど、人を捜してるだけだから。」
「えっ?誰捜してんの?一緒に捜してあげるって!」
見るからに胡散臭い男に嫌気がさした私は、男の手を力強く外した。
「結構よ。」
後ろで何か言っていた気がしたが、今はそれどころではない。
早々にその場を後にすると、全体を見渡せる2階に上がった。
暫く上からフロア全体を眺めて見たが、連理は一向に見つからなかった。
諦めて帰ろうとした時、個室から、女の声が聞こえてきた。
「れんり、早く~!」
(れんり?)
そっと個室に近寄ってみると、中からは男女が戯れ合う声が聞こえてきた。
「あっ…やだ………くすぐったいよぉ~。」
「嘘だ…ここ、好きなくせに。」
「やぁ………ー」
ドキドキとうるさいくらい脈打つ鼓動、私は、恐る恐る開いている個室の部屋を覗いて見た。
さっきまでオシャレに着こなしていた服ははだけ、女に至ってはあられもない姿になっていた。
絡み合う女の脚が生々しくて目を反らそうとしたその瞬間、私は息を飲んだ。
連理はその女に口づけしながら、女とは対照的に冷めた目で私を見ていた。