Pathological love
ズキッと痛いくらいに心臓が飛び上がる。
私は、直ぐ様その個室から離れようと足を踏み出した。
出口まで走って、走って、やっと扉が見えた時、又もや誰かに腕を引かれた。
「捜してた人、見つけた?」
「嫌だ!もういいの!!離して!!」
「そんな、つれなくしないでよ~!俺、お姉さん…めっちゃタイプなんだよね~!」
男は酔っ払っているのか、強引に私の腕を引いて、人気のない場所に引きずっていく。
「ねぇ?お姉さんも、その気あるんでしょ?」
壁に押しやられて、両腕で囲われると、逃げ場がない事に気づく。
「何の気もないわよ!!いい加減にしないと叫ぶわよっ!!」
「叫ばれたら困るなぁ~……じゃあ、叫ばれる前に塞いどこ~……」
ガッチリ体をホールドされたまま、迫ってくる男。
恐怖と嫌悪感で身がすくんでいると、横から伸びてきた腕が目の前に現れた。
「………俺の女に、何盛ってんだぁ?ケン。」
その腕は、そのままケンと呼ばれた男を遠ざけると、後ろから私を抱いた。
「この女は………俺のだ。よ~く、覚えといて。」
「れっ連理さん?!すっすいませんしたっ!!」
慌てた男は、一目散に逃げて行った。
甘い女の残り香が、私の導火線に火を点ける。
「約束破って…こんな所で、何してんのよっ!」
「何してるって、見ての通りだよ。恋愛はお互い自由だろ?責められる理由はない。」