Pathological love
さっきと同じ冷めた目で、私を見つめる連理は、全くの別人に見えた。
「確かにそうだけど………でも、約束は約束でしょ?」
「俺だって、溜まってんだよ。フフッ…それとも何?令子が相手してくれるわけ?」
明らかに挑発するような、彼の言葉に私の堪忍袋の緒が切れた。
「いいわよ?!ヤれるもんならヤりなさいよ!!私だって、丁度、子供が欲しかったから願ったり、叶ったりよ!!そんな勇気があるならね!!」
連理は私の剣幕に驚いたのか、それとも子供のワードにビビったのか、目を丸くして黙って私を見つめていた。
「何よ?やっぱり口だけじゃない!これに懲りたら、ちゃんと最低限の礼儀は守ってよね!分かっー」
最後の言葉を言う前に、連理は私の手首を掴むと、出口に向かって歩き出した。
「嫌だっ!何?!何処行くの?」
「子供……欲しいんだろ?」
鋭い眼差しで私を一瞥すると、私の返事も待たず、また歩き出す。
「えっ?」
思考回路が上手く回らないまま、気がつくと私は、ホテルの一室に立っていた。
「先、シャワー浴びてくる。」
売り言葉に買い言葉、連理が一体何を考えているのか全く分からない。
『子供が欲しいんだろ?』って事は、私とSEXするって事?
余りに急展開過ぎて、頭がついていかない。
確かに子供は欲しかったけど、子供だけ出来たらいいと思ったけど、連理と?
ごちゃごちゃ考えていると、いつの間にか連理がバスルームから出て来ていた。
タオルを一枚腰に浅く巻いて、頭を拭くと、長い前髪の間から覗く瞳が私を捉えた。
「まだ、そこにいたの?」
「えっ?」
動く度に滴る水滴が、妙にいやらしく、官能的で私は息を飲む。