Pathological love
すっかり崩れた彼の表情が、見慣れたいつもの顔に戻った様な気がした。
「はぁーーー………よかったぁ。本当は、ちょっとビビってた。」
連理は、「あーー!」っと両手で顔を覆いながら、ボフッと隣に寝転んだ。
「実は………俺も。」
「フフッ………。」
「何やってんだか。」
「何やってんだか。」
「真似しないでよ!それより早く服着てよ……目の毒なんですけど。」
連理は、ニッと笑って見せると近くに脱ぎ捨ててあった服を着た。
「あ~…安心したら、お腹空いてきた。誰だかさんの所為でまだ、何も食べてないし………。」
「誰だそいつ?許せん奴だな!ここに連れて来ーい!」
「あんたでしょーが!!」
「はははっ!分かった!!帰ったら作ってやる!!それで、許してよ?」
「しょうがないわね。極うまじゃなかったら、許さないからね?」
「俺を誰だと思ってる?デザイン界の料理の鉄人とは俺の~…こと~だぁ~!!」
「あはははっ!!」
連理の悪ふざけに乗っかって私もおどけていたけれど、内心はほっとしていた。
ただ一つだけ………あの時見た、彼の冷たい瞳が私の心の隅に焼き付いてずっと離れなかった。