Pathological love
焦って反論した所為で、口調がわざとらしく聞こえる。
「あれ?何か、隠してます?」
さすが、営業一課のキング、観察眼が鋭い。
「別に?」
「もしかして…………、上手くいってない?とか。」
「そんなこと無いわよっ!!毎日、ご飯は作ってくれるし、膝枕だってしてるし、いつも、優しく私の愚痴も聞いてくれるし、寝る時だってー」
「おっと…それ以上は、もう禁止。」
突然伸びてきた手に口を塞がれる。
「んんっ?!」
「ダメだろ令子。俺を褒めてくれるのは嬉しいけど、それ以上は、二人の秘密だろ?」
斜め後ろを振り向くと、連理が微笑んでいた。
「どうして、ここに?」
「どうしてって、勿論仕事の件で来たけど、本当の目的は君に会いたかったからだよ?………………ダメだった?」
妙に紳士ぶっている連理にドキッとする。
口調も、まるで違うし、君だなんて呼ばれると、何だかくすぐったい。
「全然………ダメじゃ………ないけど………。」
山川くんは、いつものキラースマイルを崩さず、私達の会話に割って入った。
「婚約おめでとうございます!!いつ頃、籍を入れる予定なんですか?」
「やっ山川くんっ!!急に何を言ってるの!!」
とっさに、連理の顔を見ると、全く動じない様子で、ニコッと笑顔を返すと、淡々と喋り出した。
「近いうちに入れようと思ってますが、私の仕事が立て込んでまして、令子には待って貰ってるんです。こうゆう事は、大事にしたいので。」
「そうですか。でも、今の時代に婚約なんて、何か意味があるのでしょうか?僕だったら、好きな人となら、直ぐにでも籍を入れたいと思うと思って。」