Pathological love
いつもの山川くんとは全く別人に見えて、私は困惑した。
ここまで、人の事に突っ込んで聞くタイプじゃないのに、笑顔はそのままに、言葉には棘があった。
「古風と思われるかも知れませんが、私達は、お互いに尊重し合ってるんです。お互いの理想の為に。」
(確かに、嘘は言ってない。)
「フフッそうですか!いやぁ~すいません!!少しきつく言い過ぎました。水川さんに対する気持ちを知りたかったので。僕の大事なライバルですから、彼女を頼みますね!」
いつもの口調に戻った山川くんは、連理と握手を交わした。
何年も一緒に仕事しているけど、やっぱり、よく分からない人だ。
「じゃあ、水川さん。色々、頑張って!!」
私は山川くんの背中を見送りながら、ほっと胸を撫で下ろした。
「あいつ………何か知ってんの?」
「えっ?何で?!」
「何となく…怪しい。」
連理は、腕組みをしながら、何か考えているようだった。
「よしっ!!会社ではもっと、イチャイチャしよう!!」
「はぁ?冗談でしょ?」
「昇進が掛かってるんだろ?いいのか?バレても。」
「うっ………。」
そう言われてしまうと、私はぐうの音も出ない。
おとなしく、従うしか術はない。
「Understand?」
得意気なこの瞳が憎らしい。
「アンダー………スタンド。」
この日から、私はまた、気の置けない日々が始まった。