Pathological love

目が合うと、綺麗にお辞儀をして、私が玄関先までつく間待っていてくれた。


「わざわざ、外で迎えていただいて恐縮です。間宮印刷の水川です。今日はどうぞ宜しくお願いします。」


「…どうぞ。」


丁寧な仕草とは対称的で、妙に素っ気なく、表情が読み取れない。


(歓迎されてないのかな………?先が思いやられるな。)


少し気落ちしながら通された部屋は、とても開けた部屋だった。

天井が高く、明るい光が差し、窓の所の縁側には猫が体を伸ばして、のんびり眠っている。

年代物の唐茶色の床は、ピカピカに磨かれていて、とても耀いていた。


「うわぁ………何これ………綺麗………。」


私は、思わず感嘆の声をあげていた。

木の温もりが溢れたこの家に、すっかり心を奪われていた。


「こちらにどうぞ……今声を掛けてきます。」


無表情の男は、そう言うと、すぅーっと部屋を出て行った。


(こんな素敵な家に住む、芦屋京子さんって、一体どんな人なんだろう?写真では綺麗な人だなって印象だったけど………。)


「うるさいわね~!!もう、いいわよ!このままで!!」


「京子さん!!ダメです!!そんな格好で!!」


部屋の造りを眺めていると、急に男女の言い合いをする声が響いた。


「女の人なんでしょ?だから、いいじゃない!!」


「そうですけど………!」


「だって、この前は打ち合わせの時、男の人が居たから、怒ったんでしょ?違う?」


「………………………………。」


「言い返せないなら、今日は自由にさせて!」


「………………分かりました。」


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