Pathological love

「あの?宜しければこれ、つまらない物ですがお受け取りください。中身はアップルパイです。」


私は、恐る恐る紙袋から中身を取り出して、差し出した。


「えっ!!アップルパイ?!私、大好きなの!!嬉しい!!早速いただくわ!!奏也~お願い!」


奏也は、不満そうにアップルパイを受け取ると、台所へと下がって行った。


「私、デザインは和風が好きなんだけど、和菓子は苦手で洋菓子が大好きなの!でも、大体の人は、私の所に来る時、勝手な想像で高級な和菓子を持ってくるのよ。がっかりだわ~。でも、令子ちゃんは違うわね!」


パチンとウィンクをして、京子さんはニッコリ笑った。


(連理に感謝!!)


私は、心の中でガッツポーズをした。


「それで?今日は、どうゆう話をしに来たの?私、今結構立て込んでて、スケジュール的には無理に近いけど、それでも、取りたくなるような依頼なのかしら?」


優しい笑顔で、既にハードルを高く上げられてしまった。

やはり、一筋縄ではいかない様だ。


「はい。今回は、みどり電機の新商品の掲載デザインをお願いしたいんです。みどり電機さんからのご指名です。京子さんの作品に感銘を受けて、是非お願いしたいと。」


「よく言われる常套句ね。どうせ、私のネームバリューに乗っかりたいだけでしょ?心が動かないわ。それじゃあ、請けられないわね。」


何とかイケると思われた、甘党な京子さんは、かなりの辛口だった。


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