Pathological love
「初めてお会いすると思いますが、よく、ここに来られてるんですか?」
「はい。大体この時間には家に居るのですが、今日は何故か、もう少し飲みたくて、長居していたんです。」
「どおりで会った事が無い筈だ。今まで入れ替わるように、お互いここに来ていたんですね。」
「その様ですね。」
「偶然てあるんですね。」
「必然………かも知れませんよ?」
魅力的でいて、優しい笑顔が妙に好奇心を駆り立てる。
「必然ってあるんですかね?」
「私は、あると思いますよ。私の周りは、偶然の様でよく考えてみると、成るべくして成る必然で溢れています。考えてみたら当たり前なんですよね。皆さん個々の考えを持っていて、目的に向かって行動してるのですから。」
男は、マティーニの入ったグラスを傾けながら中のオリーブを転がした。
「なるほど………そう考えれば、確かにそうかも知れません。無意識に、自分が興味あるものに、思考が片寄っているのは間違いありませんし、この店がお気に入りの私達が、こうして出会うのは時間の問題で、必然と言えますね。」
微かな微笑を浮かべて頷くと、その男は、マティーニを一口飲んだ。
つられて、俺もモヒートを一口飲んで、煙草に火を点けた。
「…あの、間違っていたらすいません。最近、眠れないとか、落ち着かないとか、思ったりしてませんか?」
「っ?!どうして………それを?」