Pathological love
「あなたの行動を見ていると、少し、神経が過敏になっている様なので…もしかしたらっと思って。何か気掛かりな事でも?」
「そんな事、見ただけで分かるものなんですか?」
「ええ、まぁ………何となくでしょうか。」
今日会ったばかりの素性も知らない男に、普通ならば絶対弱味なんか見せない筈なのに、この人を見ていると、何故か安心できるような気になってしまう。
この落ち着いた話し方と、時折見せる包み込むような優しい笑顔の所為だろうか。
「知らない人だから話せるって事もありますよね。」
「ええ。」
「多分、最近俺を取り巻く環境が変わったからかも知れません。今までは、同じ毎日の繰り返しでした。仕事も上手くいっているし、プライベートも満足していました。自分で望んで環境を変えた筈なのに、何かが、おかしいんです。思い通りに自分を制御出来ないとゆうか………。とにかく、何が原因なのか分からなくて。」
「環境が変わったのは、単純に、場所ですか?それとも、あなたを取り巻く人ですか?」
「………人です。実は婚約をしまして………。」
「それは、おめでとうございます!」
「えぇ…まぁ…ありがとうございます。」
「その婚約者の方の所為でしょうね。」
「えっ?」
何もかもを見透かしたような笑顔を見せるその男は、胸から万年筆を出して、コースターの裏に何やら書くと、スッと俺の前に滑らせた。