Pathological love
「令子ちゃん………本気なの?」
「本気です!!部長からも、許可も取れてます!!」
「アシスタント業務に家事もあるのよ?料理は出来るの?」
「出来ます(嘘)!!」
京子さんと奏也さんが二人、顔を合わせる。
暫く無言のアイコンタクトが続いた後、思いもよらない相手から言葉が返ってきた。
「京子さん、令子さんが成し遂げられたら、仕事引き受けてください……お願いします。」
「奏也…。」
「令子さんは、信頼出来る人です。」
表情が少なくて、何を考えてるのか分からない人だと思っていたけれど、ここに通い詰めていた私の熱意を、一番よく見ててくれたのは奏也さんだったのかも知れない。
「フフフッ………そう。あなたに、せがまれたら断るわけにはいかないわね?令子ちゃん、そうゆう事でいいかしら?」
「はいっ!!ありがとうございます!!一生懸命がんばります!!」
「じゃあ、明日から頼むわよ!!」
「はいっ!!」
弾み出しそうになる体を抑えて、口添えしてくれた奏也さんの方へ振り向くと、微かに笑っていた。
「あっ!笑った!」
「えっ?」
「奏也さんっ!!ありがとうございます!!」
嬉しさの余り、すっかり忘れて奏也さんの手を握ってしまった。
「痛っ!!!」
「令子ちゃんっ!!手はダメだって!!」
「あっ!!ごめんなさいっ!!」
いきなりの失敗はあったけれど、これで何とか先が見えてきた。
私は、すっかり浮かれて、安請け合いした事を忘れていた。
そう、自分が料理が出来ないとゆう致命的な事実を………。