Pathological love
会社に戻ると、私は急いでデザイン部に向かった。
この窮地を脱する為のキーパーソンは彼しかいない。
「お疲れ様です!誰かいますか~?」
声を掛けて、直ぐ出てきたのは、この前のパニクっていた新人 穂純ちゃんだ。
あれから何回か話をするようになって、今ではすっかり飲み友達の一人になっている。
「水川主任!!お疲れ様で~す!この間はごちそう様でした!」
「穂純ちゃん、酔うとああなるんだね?可愛いかったぁ。」
「あぁー!!もう、言わないって約束したのに~!!酷いですよぉ~!!」
いつもの様に穂純ちゃんを、からかって遊んでいると、頭の上にドスッと何かが乗っかった。
「うちのオフィスの入り口で、騒ぐの禁止~。」
驚いて上を見上げると、連理が怠そうな目をして、私にのしかかっていた。
「ちょっと!何?」
「フィアンセに対して、酷い言いようだなぁ?そう思わない?穂純ちゃん。」
(もっとイチャイチャするって言ってたけど、余りにも露骨過ぎない?)
「お似合いのカップルで羨ましいです。私もいつか、秋山さんの様な人と結婚出来たらいいなぁ。」
まるで夢見る少女の様な瞳で私達を見るので、騙している手前、心苦しい気持ちが満載だ。
「あぁー!秋山さん!!お話があるんですけど、あちらでいいですか?」
「話?いいよ。じゃあ、行こうか。」
肩をグッと抱くような形で、ミーティングルームに連れていかれる。
穂純ちゃんから十分に離れてから、私は小声で話し掛けた。