Pathological love
「あぁ?どの口がそんな事言ってんだ?俺は別にいいんだぞ?契約を解消しても。それに、今更女の裸なんて、見慣れすぎて何とも思わないから。」
(こいつ~…人の弱味に漬け込んで、言わせておけば………)
「………すいません。ちゃんとしますから、お願いします!!」
連理は少し顎をクッと上げて、私を見下ろしながら、ニヤッと勝ち誇った微笑を浮かべた。
「宜しい。………じゃあ、早くこっち来て。」
「はいっ!!」
私はテーブルの上の資料をかき集めると、彼の後を追った。
ソファーに座ると、連理が何やらファイルを一つ、コーヒーテーブルにポンッと置いた。
「何、これ?」
「見てみ。」
ファイルを開いてみると、一週間分の料理のメニュー例が事細かに書き出されていた。
写真や、手順、ポイントなど分かりやすく、簡単に書かれている。
「えっ?これ、今日作ったの?」
「まぁ、もともと俺が、書き溜めていたノートから、令子が作れそうな物を抜粋して、簡単に纏めただけだけどな。写真とかあった方がイメージしやすいだろ?」
ファイルを見ていた筈の視界が、どうしたのか滲み始めた。
「何………これ?」
瞬きをした瞬間、何かがポロっと零れた。
「………令子?!どうした??」
驚いた連理を前に、私の瞳から落ちたのは、紛れもなく自分の涙だった。