Pathological love
飛び付いて軽く叩く私を、連理は笑って見下ろしながら、また、腕の中に閉じ込めた。
彼の腕の中にすっぽり収まると、私はまた、何とも言えない安心感と、少しだけキュッと胸が苦しくなった。
「やっと、いつもの令子に戻ったな?俺達は協力者だ。なんかあった時は、助ける。だから、頼れ。」
「…………うん。」
私が頷くのを腕の中で感じて、連理が私の肩を離した。
その両手はそのまま私の頬に添えられる。
(えっ?何?)
少しづつ縮まる距離。
「れっ連理?!」
(うわっ!来るっ!!)
私は、ファーストキスを待ち受ける少女の様に、ギュッと目を瞑った。
…………………………………………………………。
「ば~か。」
ぶにゅっと顔を両手で挟まれた私は、身動きも取れず、目を瞬かせた。
「ちょっちょっ!!にゃにっ?!」
「あはははっ!ウケる!!」
「ウケるじゃにゃい~!!はにゅせ~!!」
じたばたしている私をあっさりと離すと、連理は立ち上がった。
「遊んでる暇はないぞ!!Let's cooking!!」
怒ってる私も御構い無く、彼はエプロンを広げると、私に着せ始めた。
いつも思うが、一見冷たそうなクールな雰囲気をしているくせに、本当に根っからの世話焼き男だ。
エプロンくらい自分で出来るのに、まるで子供でも相手にしているかの様に、気づくと何でもしてくれている。
(こうゆう所のギャップが、女の子にモテる要因なのかな?確かに過保護だけど、好きな人にここまで尽くされたら嬉しいよね。)
「やっぱり、可愛いな。」
(えっ?)
「この色で正解だな。」
(なんだ、エプロンね………まったく…こうゆう所も………。)
何だかんだと振り回されながらも、私達は常備菜作りに取り掛かった。