Pathological love
「炊飯器から、ご飯持って来て。」
「ご飯?!わっ分かった。」
炊飯器から、炊きたてのご飯をよそって持って帰ると、又もや連理が口を開けて待っていた。
「あ~…。」
今度はご飯と一緒に口へと運ぶ。
「あ~…。」
もう一度繰り返す。
止まらないお代わりに、何だか答えが見えてきた。
「プッ……ククッ………つまりどうなの…先生?」
「見りゃ分かるだろ?………………美味いよ。」
「やったぁ!!」
「まぁ、先生が優秀だからだろうな。」
(自分が作ったものを、美味しそうに食べてもらうのって、こんなに嬉しい事なんだ。)
私は、初めての感覚に舞い上がってしまっていた。
「おい?浮かれるのはいいけど、毎日しょうが焼きを出すわけにはいかないんだから、とっとと次の料理に行くぞ!!」
「はいっ!」
この後、私は、明日の分の料理の特訓を受けて、長いこと料理に没頭した。
連理は厳しかったけれど、私の行動に呆れながらも最後まで付き合ってくれた。
「よし!取り敢えず、何とかなりそう!!いざと言う時の虎の巻も作ったし、一人でも大丈夫そう。」
二人でソファーに座りながら、淹れてきたコーヒーを飲むとやっと落ち着つく事が出来た。
「明日は、俺がいないんだから………しっかり………頑張れ…よ。」
眠そうに欠伸をしながら、ソファーにもたれた連理は、凄く疲れている様に見えた。
「ごめんね?仕事忙しいのに、こんな事頼んで…。」
「別にいいって………大したことない…し。ふぁ~…俺、もう…限界…目蓋が上がんない。適当に帰っていいから………。」
言ってる傍から寝息が聞こえ始めた。
「フフッ………ありがとう連理…。」
そっと身体を倒してやると、気持ち良さそうに肩にもたれてくる彼は、とても可愛いくて何とも言えない気持ちが込み上げて来る。
「何だろう………この心地いい感じ………。」
私は、いつまでもこの不思議な感覚を感じていたくて、そのまま瞳を閉じた。